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企業の方

危 機 管 理

 昨今、企業の「危機管理」「リスクマネジメント」という言葉が当たり前のように使われていますが、日本でこの言葉が取り沙汰されたのはそれほど昔ではありません。1990年代前半頃から徐々に使われるようになり、世間的に注目を集めるようになったのは2000年代に入ってからですから、企業の事業活動との関係ではむしろ新しい分野といえます。
 そのため、上場会社を始め当初から本格的に対応を行っている企業では徐々に知識や経験が蓄積されてきていますが、ほとんどの企業にとっては、言葉だけが先行して、具体的にどのような対応が必要かまでフォローできていないことも多いかと思います。
 もちろん、事業者の皆様にとって、日々の事業活動が優先であることは間違いありません。ただ、事業者の皆様は、日々の事業活動の延長線上に拡大した事業・組織の将来を描いていることでしょう。その将来をより確実なものにするために、今から「危機管理」「リスクマネジメント」に対する意識を持つことが大切です。

1.「危機管理」とは

 「危機管理」という言葉については、よく用いられる言葉のイメージがリンクして「危機管理」=「リスクマネジメント」と考えられがちですが、「クライシスマネジメント」という使われ方もあります。
 「クライシスマネジメント」とは、主に発生した(又は発生が見込まれる)事件、事故、災害等で、かつその被害・損失が多大なものへの事前事後の対応を意味します。阪神・淡路大震災(1995年)以降に本格的に考えられるようになり、アメリカ同時多発テロ事件(2001年)による混乱の中で注目度が一気に高まりました。東日本大震災(2011年)を体験し、一般家庭を含め世間的にも大きな関心が寄せられています。一般的に「危機管理」と言う場合、「クライシスマネジメント」をイメージされる方が多いかもしれません。
 一方、「リスクマネジメント」とは、主に将来発生する可能性がある(発生が見込まれない偶発的なものを含む。)事件、事故、災害等さまざまな危険への準備を意味します。「リスクマネジメント」の目的は危険の把握とその管理にありますので、被害・損失の大小を問わず危険を洗い出した上で、数ある危険を発生可能性や被害・損失の大小、危険回避コストなど多角的な視点で順位付け、それに応じて対応方法を準備することとなります。
 事業活動との関係でいえば、事業の存続を左右する「クライシスマネジメント」はもちろんのこと、将来の事業継続・拡大を見据えた「リスクマネジメント」も重要です。そして、これに投じるコストとの兼ね合いはありますが、今後の事業継続・拡大を志す事業者の皆様にとって、「リスクマネジメント」への意識は事業規模の大小に関係なく必要不可欠です。


2.事業活動と「リスク」

 「リスクマネジメント」は、「リスク」(危険)の洗い出しから出発します。改めて「リスク」と言うとイメージしにくくなってしまうかもしれませんが、実は、事業活動を行っている皆様の頭の中では常に「リスク」の洗い出しが行われています。
 身近に思い付くだけでも、災害リスク(震災、水害、風害、火災など)、事件・事故リスク(盗難、交通事故、設備事故など)、政治リスク(国内政策、外圧など)、経済リスク(景気変動、為替変動など)、社会リスク(テロ、風評など)等が挙げられるでしょう。
 そして、私たち弁護士の専門分野である法的リスクも、もちろん「リスク」として把握されなければなりません。具体的には、労使関係(不当解雇、セクハラ・パワハラ、過重労働、社内不正など)、取引関係(契約トラブル、不良債権、取引先倒産、不正利益供与など)、情報関係(情報漏洩、不正取得など)、行政関係(許認可届出漏れ、指導・是正勧告、業務停止命令・指名停止など)、風評関係(不祥事、名誉・信用毀損、インターネット上の誹謗・中傷など)等、枚挙に暇がありません。コンプライアンス(法令遵守)という言葉も近年急激に普及しましたが、これも「リスクマネジメント」の一部です。
 事業者の皆様は、日頃からこれらの「リスク」を頭の片隅に置きながら事業活動を行っていると思いますが、これら全てについて、独自にカバーし続けることには限界があると思います。特に、セクハラ・パワハラやインターネット上の誹謗中傷などを見ても分かる通り、現代社会においては、新しく「リスク」として認識されるようになる問題が次々と発生しています。日々の事業活動に全身全霊を注ぎながら、このような環境変化のスピードにも漏れなくついていくことは、多くの事業者の方にとって難しいのではないでしょうか。
 だからといって、今後の事業継続・拡大を志す上で必要不可欠な「リスクマネジメント」への意識をないがしろにするわけにはいきません。そこで、私たち弁護士を身近な存在として利用して頂くことをお勧めしています。法的リスクはもちろん、ご相談内容に応じて法的リスク以外の「リスク」についても多角的に検討させて頂くことが可能です。


3.「リスクマネジメント」と弁護士

 事業者の皆様に私たち弁護士を利用して頂く方法は様々ですが、以下に代表的なものを挙げます。

 (1) 社内規程の整備

 定款や就業規則など法令上の作成義務がある規程はもちろん、単なる内規まで対応します。
 社内規程は、日常的に会社組織を動かすための指標となるだけでなく、紛争が発生した際(まさに「リスク」が顕在化した場面)に『証拠』として事業者の皆様の武器・防具となるものです。いつ紛争が発生しても戦えるように、しかも攻撃だけでなく防御もできるように、手入れをしておく必要があります。
 どの程度の手入れをしておくかは、リスクの順位付けにもかかわる問題であり一概には言えませんが、「リスクマネジメント」を考えるに当たって、社内規程の整備が欠かせないことは間違いありません。

 (2) 業務フローの確認

 事業者の皆様は、豊かな知識と経験に裏打ちされた業務フロー(マニュアルなど)をお持ちだと思います。これまでの試行錯誤とたゆまぬ努力の末構築された業務フローは、利益を生み出す仕組みとして見た場合には、私たち弁護士の力は不要かもしれません。
  ただ、少し視点を変えて「リスク」に備えた要素も組み込むことで、皆様の構築した仕組みが、「リスク」が発生してもなお耐えうる仕組みへと強化される可能性があります。
  また、事業の継続的な発展・拡大のために、業務フローの属人性から脱却しなければなりません。業務フローの中に、経営者を含め特定の人を拠り所とした内容が含まれるようでしたら、一度確認することをお勧めします。

 (3) 従業員対応

 従業員は、企業にとって一番の財産です。従業員を教育し、事業の中核を担える人材に育成することで、仕事の質は向上し、事業の規模も拡大していくことは言うまでもありません。
  一方で、従業員を雇用することにより、各種労働法令・通達なども遵守しなければなりませんし、もちろん人件費というコストも発生します。場合によっては紛争化のおそれもあります(不当解雇、残業代未払いなど)。
  このように、従業員を雇用するに当たり必然的に多くの「リスク」も抱えることになりますので、リスクが現実化しないようにケアすることはもちろん、リスクが発生した場合に備えて日頃から準備を欠かさないことが大切です。

 (4) 経営判断の基礎となる法的意見

 事業者の皆様は、日々の経営判断をするに当たり、役員や従業員、取引先、家族や友人など、様々な人たちの意見を参考にしていると思います。その一人に私たち弁護士を加えて頂ければ、法的側面はもちろん、他の方々とは違った視点からの意見を提供できる場面が数多くあると考えています。
  スポットで法律相談をして頂くことも一つの方法ですが、「リスクマネジメント」という観点から考えれば、ある程度継続的にお話を伺う中で適宜アドバイスしたり、重要な社内会議に先立って又は立ち会って法的観点から意見を述べることが効果的です。
  また、重要な社内会議、プレゼンや商談等で相手方にエビデンスを示して結論を伝える場面で、私たち弁護士の作成した意見書をご利用いただくこともできます。前向きの場合だけでなく、後ろ向きの場合でも、私たち弁護士の作成した意見書を活用することができると思います。

 (5) 不祥事対応

 どんなに気を付けて事業活動を行っていても、不祥事が発生する可能性はあります。だからこそ、どのような不祥事が発生する可能性があるのか、不祥事が発生しないようにどのように対策すべきか、不祥事が発生してしまった場合にどのように対応すべきか等について、日頃から考えておくことが大切です。
  とはいっても、不祥事を見据えて万全の準備することは、日々の事業活動もある中では難しいかもしれません。具体的な対策を立てることも、時間や費用の観点から後手に回ってしまうのもやむを得ないと思います。
  そこで、不祥事という「リスク」に関しては、その意識だけは忘れずにいて頂き、その「マネジメント」の方法として、何か起こった場合はもちろん、何か起こりそうな場合に、すぐに私たち弁護士を含む専門家へ相談できる体制だけは整えて頂きたいと思っています。

 (6) セミナー開催

 弊事務所では、各種セミナーを開催することを通じて、様々な「リスク」に気付ける環境づくりをお手伝いしています。   事業者の皆様がご自身で向き合った「リスク」に関しては、リスクが現実化する前のタイミングでご相談頂ける可能性があります。弁護士やその他の専門家に相談しなかったとしても、必ず何かしらのケアをした上で「リスク」の現実化に準備できる時間があります。
  しかしながら、環境変化が著しい現代社会において、あらゆる「リスク」を察知できるか、それを自らの問題として現実的に捉えられるか、「リスク」を具体的にイメージできるか、という問題があります。もし、これらが障害となって「リスク」と向き合えなかった場合、ある日突然現実化した「リスク」に対応しなければならず、場合によっては致命的な被害・損失を蒙りかねません。
  このような観点から、弊事務所では、「リスクマネジメント」の一環として、知識や経験をお伝えすることはもちろん気付きの場を提供できるよう、各種セミナーの開催を承っておりますので、一度お声がけください。

 (7) 顧問契約

 私たち弁護士を「リスクマネジメント」に最も効果的に利用して頂く方法は、顧問契約です。
  顧問契約の内容も様々ですから、もちろん顧問契約を締結しただけで万全な「リスクマネジメント」になるわけではありません。ただ、「リスクマネジメント」を主眼とした内容で顧問契約を締結した上で、皆様から弁護士を最大限利用して頂くことによって、「リスクマネジメント」の一助となることは間違いありません。
  弊事務所の顧問契約の内容につきましては、別途詳細にご説明させて頂いておりますので、ぜひご覧ください。

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